３/２８の宿は、１６番札所-観音寺の門前にある「鱗楼（うろころう）」という料亭なのか遍路宿なのか！
もう毎晩、泡の立つ般若湯の酒盛りが始まる。

でも、この日だけは酔いどれ公案。
「植物人間になっても人間は生きるべきか　イヤ　その前に人間の尊厳を保っている間に呼吸器を外すべきか」
で喧々諤々の大論争で盛り上がる。

一歩だけが「植物人間になろうとも命ある限り生きながらえるべき」
他の３人はイヤ「人間の尊厳を保って死を選ぶ」と云うんです。

私たち遍路は、
お参りする寺々で開経偈（かいぎょうげ）に始まり、
最後は回向文（ えこうもん）で締めくくります。

無上甚深微妙法（むじょうじんじんみみょうほう）
百千萬劫難 遭遇（ひゃくせんまんごうなんそうぐう）
我今見聞得受持（がこんけんもんとくじゅじ ）
願解如来真実義（がんげにょらいしんじつぎ）
と何回唱えたことでしょう。

百千萬劫難 遭遇の百千萬劫とは
100×1000×10000×劫とは１０の２２乗がごうですから、
１０の後ろに０が２２+２+３+４　　３１も０が並んだ天文学的
数えきれないほど確率の低いことを意味しているんです。

それ程、人間としてこの世に生まれてくることは難しいことなんですが、
なんで、そんな大切な命を、
人間の尊厳と云う得体の知れない知識に惑わされて死を選ぶことが出来ようか！・・・
と云うのが一歩の主張です。

でも、みんな猛反撃
キット経験したことのない死と云う知識に振り回されて、
たった一度しかない命を一回きりの人生を、
自らの手で終わらせるんだと主張して止まないんです。

そう言い張っている裏では
「年間、３万人もの人が自らの命を自分の手で断っている・・・社会問題だ！何とかしなくちゃー」
と騒ぎ立てているんです。

矛盾していると思いませんか！

秘蔵宝鑰（ひぞうほうやく）には
「生まれ　生まれ　生まれ　生まれて　生のはじめに暗く
死に　死に　死に　死んで　死の終わりに冥（くら）い」弘法大師空海全集第二巻

空海でさえ、生死を繰り返しているこの世は・・・暗く・・・冥（くら）いんだと言っていますので、
誰にも分からないと云うのが真実のようです。

だったら！
たとえ、植物人間になろうとも命ある限りは「生」にかけるのが人間としての生き方ではないかと一歩は思うのです。

「・・暗く・・冥（くら）い」と云うのは、
「ワシしゃーよう分からん」と云っているんだと思うのです。
それでこそ！一歩の好きな人間空海の真骨頂だと思うのです。

フフ！
これで又　全国の遍路様からヤンヤの喝采か
ヤンヤの反撃が！・・・楽しみにしているんです。


どうか宛先の終わりに遍路と云う文字か、
又は、本文の始めに遍路と云う文字を入れていただければ、
自動的に開封して必ずお返事いたします。

　※　編者注

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