佐賀温泉07：30～5.8Ｋｍ～09：00伊予喜経由～12.1Ｋｍ～
12：00灘経由～3.9Ｋｍ～13：00入野分岐～4.1Ｋｍ下田口経由～
逢坂トンネル経由～7.1Ｋｍ～15：30宿所民宿ペンション四万十

　　　　　　歩行予定距離　33.0Ｋｍ

06：00　出発の予定を変更して、昨夜用意してもらった朝食のお弁当を食べる。

タッパに入っているが、おかずも色々あり美味しく頂く。
06：15　まだ薄暗いＲ56を『Ｈさん』と歩き出す。
昨日からの雨は今朝になって益々激しくなり、寒くて手がかじかむ。

川を右手に見ながら、般若心経を唱えながら歩く。
伊予喜の手前のバス停で小休止。
途中から旧道に入り、農家の裏庭を通り段々畑を上がりきったところに、
煉瓦造りの古いトンネルがある。
「熊井トンネル」とプレートが付いており、100ｍ程の真っ暗なトンネル。
入口は大きいが真っ暗な闇の中、向こうのほうに小さな半円形の出口が見える。
入口と出口の半円形が大小で重なって見えるのは不思議な光景だ。
このトンネルができた時、村人たちが、
「トンネルの入口は大きいのに、出口は何故あんなに小さいんだろう。」
と不思議がったらしい。大正ロマンが雨に煙っている。

トンネルを越え田舎道を下り、JRの踏切を渡りＲ56に出る。
何の疑いも無く右の方向へ行こうとすると、後ろから『Ｈさん』が、
「上野さん、左と違いますか、へんろマークが左へ向いていますよ。」と呼び止められる。
私の感覚ではどうしても右になってしまうのだが、へんろマークは確かに左を指している。
近所のおばさんが出てきて、「中村は左側ですよ。」と教えてくれる。
直ぐ向こうに大きな標識が懸かっており中村と出ている。

そんなに山の中を歩いたわけでもないのに方向感覚がずれてしまった。

白浜から雨に煙る土佐の海

白浜の消防署を越えた「ニュー白浜」でコーヒータイム。
追っ付け『ＩＭさん』も着くだろうと思って窓の外を見ているが一向に現れない。
変ったメニューで「うどんモーニング」
（コーヒー・小椀にとろろうどん・食パン1枚・サラダと玉子焼き・バナナ二切れ、500円）
を注文。
店内にはストーブがあり、隣りに座り濡れたものを乾かしながらコーヒーを飲む。

09：30　体も温まったので出発の準備をしていると、前を『ＩＭさん』が通り過ぎていく。

合羽を着て後を追う。
灘を過ぎたところで追いつき、「何処かで休憩していましたか？」と聞くと、
「公園の東屋で休憩していたが、寒くてまた歩き出してきた」と、
道理でなかなか見つからなかった訳だ。

今日は、郵便局に寄り軍資金を調達しようと思って、
探しながら歩いていたら、上川口の郵便局があった。
寄ると閉まったままだ。
おかしいなと思いながらそのまま通り過ぎ、
しばらく行くと浮鞭の郵便局があり、入口まで行くとここも閉まっている。
良く考えてみると今日は日曜日だ。
やっている訳が無い。
曜日の感覚がまるで無い、方向感覚と云い今日はどうかしているようだ。
近くのコンビニに入り、熱い缶コーヒーを買って飲む。
目を醒まさなければ、この先が思いやられる。

11：15　入野分岐から大方の浜のへんろ道に入って行く。
馬事公園から松林と砂浜の美しい海沿いの道を歩く。
相変わらず雨は強く降っている。
このあたりから靴の中まで濡れてきて、歩いていても体が温まらない。
白砂の向こうの海は波が荒いがサーフィンの若者たちが沢山海に入っている。
松林の中ほどにサーファー用のトイレやシャワーの設備かある公園に着く。
我々もトイレに行き小休止。

公園から西に出てＲ56に出る。
向かいのスーパーサンシャイン大方のベンチに『ＩＭさん』が休んでいる。
離れては会い、会っては別れて、何時までも『ＩＭさん』とはご縁があるようだ。
しかし、それも今日まで、『ＩＭさん』は、今日は「民宿中村」に泊り、
明日は休養日で連泊されるそうだ。
ここが最後のお別れと、我々も向いのベンチに行きしばらく一緒に休憩する。
これからの旅の無事をお互い祈りながら一足先に腰を上げる。

大きな「うどんいろりや」があったので昼食に入る。
12：30　広い板の間で靴を脱いで上に上がるが、
靴の中まで濡れているので、歩くと足跡がつく。
「肉うどん」を食べていると、『ＩＭさん』が前を通り過ぎて行く。

13：00　お腹も膨れ体も温まったので出発。
下田口から逢坂トンネルを越え、中村市に。

14：00　何処かの倉庫の庇の下で休んでいるお遍路さんがいる。
近ずくとまたまた『ＩＭさん』だ。
靴を脱いでビニール袋を足に履かせている。
「靴下が濡れるのでビニール袋を履いてその上に靴をはくのだ」と云っている。
面白いやりかたと思いながらも、再度お別れを言って先に進む。

古津賀分岐から市内の繁華街を通り中村大橋を渡ると、左手に「民宿中村・新館」がある。
旧館は右手に曲がったところらしい。
一旦予約を入れたが、断られたので予定を変更して今日の宿にした。

14：50　少し早いが、「ペンション四万十」に着く。

玄関には靴やサンダルが散乱していて、自分たちの靴の脱ぎ場も無い。
奥さんが出てきて部屋に案内してくれる。
玄関で靴も靴下も脱いで二階に上がる。
室戸で泊ったペンションを想像していたが、予想に反して古いただの民宿だ。

部屋は4畳半、エアコンが着いているが、2時間100円のタイマーが付いている。
それもあまり効かない。
時間が早かったので当然お風呂は入っていない。
部屋にお茶の用意が無く、インターホンで頼んでも出てこない。
洗濯場は狭くて干す場所もない。
部屋にロープを張り濡れたものを干す。
ようやくお風呂にも入れ一階に下りていくと、倉敷の『ＨＫさん』が到着する。

奥さんを呼んでも出てこない、
私と『Ｈさん』は自販機の缶ビールを飲みながら奥さんを待つが、
『ＨＫさん』は濡れた体のまま我々と話をしながら奥さんの出を待っている。
30分程して奥の部屋から奥さんが出てこられる。
ひょっとして昼寝をしていたのかと思うような顔で出てくるので呆れてしまう。
『ＨＫさん』はようやく部屋に案内され二階に上がって行かれた。

18：00　下の食堂で夕食。
「ここまでの宿は、魚が多かったでしょうから、うちの宿は肉料理を食べてもらいます」
と鶏肉のフライ・スパゲッティー・大根の煮付け・四万十の川のりの味噌汁。
せめて四万十の川魚のひとつでも欲しかった。

濡れたものが乾かないので朝までエアコンをつけっ放しで、
エアコン代だけで600円も懸かった。

朝食は07：00　しか出せないと言われ断って、
06：00　に出発することになる。

第十六日目
　歩行予定距離　33.0Ｋｍ　　実歩行距離　34.2Ｋｍ　　歩数　47.485歩

　予定所用時間　8時間　　　実所用時間　8時間35分

　費用
　コーヒー代　500円　　缶コーヒー　120円　　昼食代（肉うどん）　670円
　洗濯代・エアコン代　700円　　ビール2本　900円
　宿泊料（一泊一食付き）　5.500円　　　　　　　　　　　　　　計　8.390円

宿泊所について
　ペンション四万十　　高知県中村市右山元町3-4　　TEL　0880-34-4100

　中村市の中心地にある宿で、ペンションとは思えない職人宿のようなもの。
奥さんが独りでやっているらしく他の家族は見当たらない。
一階に食堂、お風呂。二階に客室、８室くらい。
洗面所とトイレ（和式のみ）洗濯場はベランダにあるが、狭くて干すところは無い。
洗濯機と乾燥機はそれぞれ100円。

部屋は４畳半、テレビ・エアコン、エアコンは２時間100円のタイマー付き。
濡れたものを乾かすのに一晩中点けたまま、600円。
予約の電話を入れた時は優しそうな声の奥さんと思っていたが、
実際はお茶も出てこない、
インターホンで呼んでも出ない。
余分なことは一切知らぬ振りである。

　食事は、鶏肉のフライ・スパゲッティーなど、あまり文句は言えないが、
他の宿とどうしても比較をしてしまい申し訳ない。

　朝食も07：00　以降でないと出来ないと云われ断る。

　一日中強い雨に打たれて冷え切ったお遍路には、
温かさを取り戻すことは残念ながら出来なかった。

　宿泊料（一泊一食付き）　5.500円